1・基本的なセッティング講座
まず・・・基本的なセッティングとしてやらなければならない事・・・。
それはローラーセッティングでもなく・・・バンパーの強度UPとかでもない・・・。
ズバリ、それはマシン自体の基本能力を上げること。
ローラーをつけたり、FRPのプレートを付けたりするのも、行き着く先はシャーシ。
まずはこのシャーシの持つ性能を100%引き出す為のセッティングをしていきましょう。
しかし、あくまでそれは慣らしが終わっている状態で行う事。
1・ターミナル
バッテリーの電気はまず何処に流れるかと言うと・・・ターミナルだよね。
って言う事は・・・このターミナルがしっかりしていないと、モーターにちゃんとした電気が流れない。
モーターに電気が良く流れないという事は・・・モーターの回転が悪くなっちゃう。
結果的にモーターの回転が悪くなってしまったマシンは・・・遅くなるってわけ。
そこでこの・・・ゴールドターミナル。
各シャーシに合わせてターミナルの種類が決まっているから気をつけてね。
っと・・・言いたい所だけど・・・。
このゴールドターミナル・・・実は無理に使わなくても良いんだよね。
ゴールドターミナルに使われているのは・・・勿論その名の通り・・・金をメッキしてある。
この金・・・ネットで調べれば分かると思うけど・・・
元々のターミナルの材料である銅より伝導率(電気の通り易さ)は低いんだよね。
つまりはノーマルの方が伝導率がいいって事。
た・だ・し。
それはノーマルターミナルを鏡のようにピカピカにした時の話。
布にコンパウンドを少し付けて接触する部分を徹底的に磨き上げます。
あ、貴金属磨きでも綺麗になるよ。あれにも研磨剤が入っているからね。
磨いた後は、コンパウンドの粉や油分が付着しているので、洗剤でよく洗おう。
【ノーマルターミナル】 【鏡面加工したノーマルターミナル】
さらに、銅の場合は腐食し易いので・・・ちゃんと手入れをしてあげないと殆ど電気を流さなくなっちゃう場合も。
なので、磨き上げられる人や手入れがこまめに出来る人はノーマルでも良いし、
メンテナンスが面倒な人はゴールドターミナルでも良いかも。
ちなみに、ゴールドターミナルはメッキ加工がしてあるので厚みがあり、
バッテリーへの押し付ける力があるので効果はあるかも。
で、意外とメジャーなテクニックである、ターミナルにウレタンを挟む方法。
ノーマルターミナルの場合はこれでバッテリーへの押し付け力を高められるんだよ。
・・・あ、こうなるとゴールドターミナルは必須かな。(笑)
あのスポンジ入手のために。
※注意※
基本的にタミヤさんのレギュではターミナルの加工は認められていません。
レギュレーション的には・・・このターミナル磨きは加工とも取れる作業。
実際に公式レースに出場する時には車検の係りの人に聞いてから使用しましょう。
2・プロペラシャフト
ミニ四駆PRO以外のマシンには必ずこれがあります。
マシンを4輪駆動させる為の大切な部品。
これを中空軽量プロペラシャフトに交換しましょう。
左からスーパーXシャーシ用、スーパーFMシャーシ用、スーパー1&VSシャーシ用となっています。
ギヤの色とシャフトの長さ、太さによって異なっているので注意して購入しよう。
ギヤが紫+太いシャフト径(2.0mm)=スーパーFMシャーシ、タイプ1〜5シャーシ
ギヤが青+長い+細いシャフト径(1.4mm)=スーパーXシャーシ
ギヤが緑+細いシャフト径(1.4mm)=スーパー1、ゼロシャーシ、VS、スーパーTZ、TZ−X
で、この中空プロペラシャフトにする事で何が変わるかと言うと・・・。
まず第一に・・・軽くなる。
モーターのパワーをホイールまでに伝えていく時に、回転を伝えていく部品が重いとロスになるんだよね。
重いものを持ち上げるより、軽いものを持った方が楽だよね?
まさにそれと同じ事・・・・特に駆動系(ギヤなど)の場合は軽量化が物凄く速さに関わってくるよ。
また、中空プロペラシャフトのギヤ部分を見てみると・・・内側が少しギヤ部分が無く、細くなってるはず。
これのお陰でプロペラシャフト受けの壁に接触する部分が減って摩擦抵抗が減るので、
回転が邪魔されないんだよ。
是非、交換しよう。
3・軸受け
タイヤとシャフトの軸受け部分・・・ノーマルだとハトメになっているはず。
これをダンガン用のHGベアリングに交換する。
ミニ四駆用の六角ベアリングだと・・・どうしても回転が悪いし、ガタガタとブレが大きいのでHGベアリングをオススメ。
本当はAOパーツのAO−1011 620ベアリングが一番良いんだけど・・・
620の場合は幅が広いのでホイールの改造とかが必要になるし、値段も高いので最初はHGで良いね。
あ、同じAOパーツのAO−1002 メタル軸受けセットもなかなか。
ハトメと同じくグリスアップが必須だけども、精度がなかなか良いのがあるし、100円と安いのも特徴。
ただ、寿命は短いけれど・・・。
4・バッテリーホルダー
バッテリーを外れないように押さえるバッテリーホルダー。
小さい部品だけど、もし、走行中に外れれば・・・バッテリーが外れ、走行不能になる事も。
どうでも良いようで実はかなり重要なパーツ。
本来なら・・・スーパー1やTZの場合は強化バッテリーホルダーというグレードアップパーツがあったんだけど、
今は生産停止になっているので手に入れるのは難しいかも。
しかし、ノーマルでも十分にバッテリーを保持する方法はあります。
1つはバッテリーホルダーにウレタンスポンジ(ゴールドターミナルについてくるスポンジ)を裏側に貼ると、
強力にバッテリーを押さえてくれます。
しかし・・・結構、無理にはめるとシャーシが歪んで駆動系に問題が出てくるんだよなぁ・・・。
特にスーパーXシャーシのバッテリーホルダーは細いし、結構ピッタリに出来てるから貼っちゃうと逆効果な場合も。
そこで、グレードアップパーツなどを買うと、袋を閉じている台紙・・・あれを瞬間接着剤などで貼るって言う方法。
これなら、厚さを自由に調整できるから便利。
5・グリス
流石にキット付属のハイジョングリスでは最速は狙えない。
っと・・・言う事でグリスも違うものを使おう。
グリスのオススメでは・・・セラミックグリス(右)かモリブデングリス(左)。
チタングリスは・・・少し粘度が高く、チタンの粒子が見えるのでギヤが削れてしまう可能性が。
セラミックグリスは白いグリスで、サラサラしているので抵抗も少なめ。
モリブデングリスは黒いグリスで、セラミックよりもさらに粘度が低く、サラサラ。
個人的にはモリブデングリスがオススメ。
ただ、グリスはやっぱり薄く塗ることが基本。
厚く塗ると静かにはなるけど、回転を邪魔してしまうので遅くなるからね。
ところが・・・・。
このセラミックグリスやモリブデングリスでも・・・まだ抵抗が大きいみたい。
最近ではグリスを使う人が少なくなって、それに代わる潤滑剤を使っているよ。
100円均一で売っている化粧品の『スクワランオイル』やホームセンターなどに売っている『シリコンオイル』。
さらに、KURE CRCから売り出されている保護つや出し剤の『クレポリメイト』などが代表格。
オイル状・・・殆ど液体みたいな感じのこの潤滑剤・・・まぁ、本来はシリコンオイル以外は潤滑剤ではないんだけど、
ギヤをオイルで保護しながら潤滑しつつも、粘度の抵抗が少ないので回転を邪魔しにくいよ。
ただ・・・グリスと違ってすぐに潤滑成分がなくなっちゃうから、定期的にギヤの様子を見て、
もしも油分が切れていたらオイルを垂らしてあげるという作業が必要になってくるから気をつけよう。
6・ギヤカバー&スイッチカバー
意外と見落としがちなのがここ・・・ギヤカバーやスイッチカバー。
カバーのツメが弱くなったり折れていたりすると、きちんと保持する事が出来なくなって、
走行中にカバーが外れたりすると・・・・プロペラシャフトが暴れたりして遅くなるだけじゃなく、
ギヤを壊してしまう事も出てきてしまう。
これはミニ四駆PROのMSシャーシにも言える事で、そのようなトラブルが無いようにしっかりとはめよう。
可能であれば・・・こんな風にビスで固定してしまえば外れる事が無いからトラブルはなくなるはず。
また、ここがしっかり固定できれば・・・モーターもしっかりと固定されてくれるので、やっておきたいかな。
7・駆動抵抗
良く、ネットでも見かける噂の『抵抗抜き』って技術。
基本的にこの抵抗抜きって言うのは・・・ギヤ類を一定の位置に固定して、シャーシ壁面などにギヤが接触し、
摩擦の抵抗で回転が抑えられることなどを防止するための加工。
この加工はかなり難しいけれども、速度UPに効果的な加工で・・・その加工方法も様々。
もう、シャフトにギヤを瞬間接着剤などで固定してしまう方法・・・これは簡単なんだけども、ギヤが外せなくなってしまう。
もう1つはスペーサーやワッシャーなどで位置を決める方法・・・これは調整が難しいけれど、取り外しが可能。
セッティングに慣れてきたら挑戦してみるのも良いかも。
ここで注意。
せっかく抵抗抜きを施したといっても・・・・ベアリングなどの精度が悪ければまるで意味は無いよ。
抵抗抜きをする時は精度の良いベアリング・・・620ベアリングや520ベアリングなどが必要になってくるので注意しよう。
8・軽量化
軽量化・・・と言ってもシャーシの軽量化だけはしないように。
特に・・・バンパーなどには大きな力が加わるので・・・無理な軽量化によって強度の落ちたバンパーは簡単に壊れちゃう。
コースアウトした時に・・・バキッ・・・っと折れたりしたら悲しいからね。
また、軽量化によってグニャグニャに曲がるようになってしまうと、ローラーの真価を発揮できなくなったりもするから、
極力シャーシの軽量化は止めておこう。
まぁ・・・MSシャーシの場合・・・センターユニット辺りは削っても大丈夫そうな感じはあるけどね(笑)
軽量化をするのなら・・・足回りや駆動系。
本物の車でもそうなんだけど、足回り・・・主にタイヤやホイールを軽量化すると、
ボディやシャーシを軽量化するよりも15倍効果がある・・・と言う理論があります。
つまり・・・ホイール、タイヤを1本辺り0.1g軽くすると・・・4本で0.4g。
効果が15倍なので・・・シャーシ、ボディを6g軽量化したのと同じ効果があるんだよ。
まぁ・・・軽さだけが全てじゃないんだけどね。
問題なのは重心位置・・・・この重心位置が高くなってしまうと、レーンチェンジャーでの姿勢が不安定になってしまったりする。
シャーシを軽量化してしまうと・・・この重心位置が高くなるという現象が起きるのでやっぱりオススメは出来ないです。
しかし・・・・シャーシに穴を開けて効果的な部分はあります。
これもネット上などでも調べれば出てくる『電池落とし』・・・この改造を施すには、バッテリボックスの部分を大きく切り落とさないと。
電池落としする事で、勿論重心は下の方に落ちるので、レーンチェンジャーなどでの安定性は上る。
まぁ・・・重心が下がる事はこの電池落としの本来の目的ではないんだけども・・・。
ただし、やっぱり大穴を開けてしまっているので、補強等を施していくと自然に重量は増えます。
そうすれば更に重心が下がるので・・・安定性に優れたシャーシに仕上がるというわけ。
シャーシに求められるのは・・・・
『頑丈で耐久性がある』『重心が出来るだけ下に』『駆動抵抗を出来るだけ下げる』の3つの項目が大切になってくる。
9・バッテリー
現在のタミヤレギュレーションで使えるのは次の三種類。
1:マンガン乾電池 値段が安く、最軽量の電池。しかし、パワーと持続力が無い。慣らし、走行テスト向け。
2:アルカリ乾電池 値段は電池によって様々。重量は重め。瞬間的なパワーはトップクラス。スピードは出るが、耐久線には不向き。
3:ニカド電池 値段は性能によって異なる。重量は軽め。パワーがあり、それなりに持続力もある。充電可能で何度も使用できる。
っと、この三種類。
以前にはニッケル水素乾電池も使用できたんだけど、レギュレーション改定で使用禁止に。
マンガン乾電池の場合・・・レースではまず使えないかな・・・パワーも持続力も無いからお遊び用。
アルカリ乾電池の場合は、そのパワーによって『軽い』マシンならば最高速を期待できる。
ただし、『重い』マシンではアルカリで引っ張りきれない場合があるので注意・・・電池自体も重いしね。
ニカド電池の場合は、初期のパワーはアルカリに劣るものの、持続力があるので万能に対応できる電池。
また、ニカド電池の育成方法や充電方法によってはアルカリ以上のパワーを出す事も。
寿命がくるまで何度も充電可能なので、最初は高いかもしれないけど、長い目で見れば経済的。
ここでニカドを使う時の注意事項。
ニカドの充電について・・・・ニカドを充電する時は、まず・・・電池の中の電気を全て使い切る事。
ちゃんと放電してから充電しないと、『メモリ現象』という現象が起きて・・・充電できる電気量が減ったり、寿命が短くなってしまう。
充電する時は・・・タミヤのミニ四駆ニカドオートディスチャージャーを使うか、マシンに入れてモーターが回らなくなるまで回してあげると良いよ。
そして、電池に書いてある『700mAh』と『1000mAh』と言う数字・・・・。
これは『1時間当たりに流せる電流量』を表していて、700よりも1000の方が多く電流を流せるって事。
多く電流を流せるという事は、必然的にモーターの回転も上ってくるので・・・買うのなら1000mAhをオススメ。
タミヤで言うと緑色の充電器だよ。あ・・・青色の充電器で1000mAhのニカド電池を充電しようとすると、
700mAhまでの電流量までしか充電してくれないので注意。
また、初めてニカドを買った時は・・・実は電池は本来の力を発揮できない状態になっているんだよ。
その為、2〜3回ほど充電と放電を繰り返して慣らしてあげる必要だよ。
っと・・・・基本的なセッティング講座・・・。
シャーシの基本スペックを上げるという事はこれ位で。
これでマシンは大分速くなってきたはず・・・・そうすると必然的にコースアウトしてしまう。
最高速だけが伸びても・・・完走できなければレースには勝てない。
だからと言ってブレーキやゴムリング付きのローラーでスピードを落としていくと・・・スピードで負けて追い抜かれる。
レースは安定し、先にゴールするか最速タイムを叩き出さなければ・・・・勝てないからね。
それじゃ・・・・次は各部の事について詳しく話していくよ。